メタボリックシンドローム外来

人間ドック医が語るメタボリックシンドロームの実体

血糖が高くなる理由

 空腹時血糖のカットオフ値は日本糖尿病学会の基準を用い110mg/dlとしていますが、米国糖尿学会はより厳しい100mg/dlを用いています。日本でも平成20年から始まる特定健診・特定保健指導では空腹時血糖100mg/dl以上が採用される予定です。

 ドック受診者では、体重・腹囲がコントロールできている人では90mg/dl前後の人が多く、体重・腹囲の増加とともに100mg/dl以上の人が増えてくる傾向があります。

 メタボリックシンドロームでは耐糖能異常や糖尿病を伴うことが多く、メタボリックシンドロームを疑う場合には、空腹時血糖が正常域にあっても糖負荷試験を追加し、耐糖能異常の有無を判定することを勧めています。


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血圧が高くなる理由

メタボリックシンドロームでは、収縮期血圧130mmHg以上もしくは拡張期血圧85mmHg以上が診断基準として採用しています。

高血圧の原因としては、内臓脂肪細胞よりの昇圧物質であるアンジオテンシンノーゲンの分泌増加もしくは高インスリン血症に伴う腎臓からのナトリウムの再吸収が高まることが考えられています。

成人の血圧の分類(日本高血圧学会分類)は、下記のごとくです。メタボリックシンドロームでは、正常高血圧以上を診断基準にしています。一般の高血圧基準より厳しい基準となります。ただし至適血圧は120/80mmHg以下です。

ドック受診者を診ていますと、ウエスト周囲径と高血圧は正相関性が認められ、ウエスト周囲径が85cm以上となると、血圧も上昇傾向となりますが、ウエスト周囲径80cm未満の男性では、血圧は至適血圧(<120/80)であることが多いです。

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中性脂肪が高くなる理由

 メタボリックシンドロームの診断基準では、日本動脈硬化学会基準の中性脂肪150mg/dl以上またはHDL-コレステロール値40mg/dl未満を採用しています。

 最近の40歳以上の日本男性では、中性脂肪150mg/dl以上の人が約4割を占めてます。中性脂肪が上昇する原因としては、アルコールや甘い物の大量摂取が考えられます。

 さらに中性脂肪は筋肉運動のエネルギーとなりますので、運動不足では上昇しやすく、さらに内臓脂肪は肝臓で中性脂肪の原料となりますので、ウエスト周囲径の増大は中性脂肪上昇の原因となります。

 つまりウエスト周囲径が85cm以上で、運動不足の人は高中性脂肪血症になりやすく、さらにアルコールや缶コーヒー(砂糖入り)が増悪因子となります。

 一般的には中性脂は150mg/d未満が診断基準ですが、十分な運動量のある男性では80mg/dl以下であること多いです。(この場合ウエスト周囲径も80cm未満の場合が多い)

 HDL-コレステロール値は、40mg/dl未満の男性が一割を占めています。低下する原因としては、喫煙、肥満、運動不足が考えられます。できれば50mg/dl以上がbetterです。

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メタボリックシンドローム診断基準

日本の診断基準では、ウエスト周囲径が必須で、他に脂質代謝異常・高血圧・高血糖のうち2項目を満たせばメタボリックシンドロームと診断されます。

高血圧、高血糖、脂質異常を起こす可能性のある病的内臓脂肪量として、男女とも≧100㎠が相当すると考え、それに見合うウエスト周囲径として、男性≧85cm、女性≧90cmが採用されています。

ただし男性で85cm超えたすべての人で、内臓脂肪量がオーバーしているわけではありません。
たとえばお相撲さんはほとんど8 5cm超えていると思いますが、内臓脂肪はそれほどたまっておらず、皮下脂肪が増加しています(運動は内臓脂肪を消費する)。

逆に85cm未満だから問題ないともいえません。血圧、血糖、脂質代謝に異常があれば、内臓脂肪量はオーバーしている可能性が高いと思われます。

現在の時点では、内臓脂肪量のチェックとして、腹部CTでの内臓脂肪面積測定がありますが、近い将来体脂肪計のような内臓脂肪量測定器が商品化されます。さらには脂肪細胞機能低下の指標としてアディポネクチン測定キットが発売されると思います。それまでは男性ではウエスト周囲径85cmで、脂質代謝異常、高血圧、高血糖のうち2項目あればメタボリックシンドロームと診断されます

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メタボリックシンドロームとは?

 昨年流行語にも選ばれた言葉”メタボリックシンドローム”とは?
一言で言えば、ウエスト周囲径 男性85cm 女性90cm以上で健康障害を伴うものですね。ただ巷ではウエスト周囲径のみが一人歩きして、その実態を理解している人は少ないように思われます。

 メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積が原因だと考えられています。内臓脂肪から分泌されるアディポサイトカインが高血圧、高血糖、脂質代謝障害を引き起こします。ところがこれらの障害は、内臓脂肪量が増加しても起こりますが、逆に病的に減少しすぎても起こります。つまり内臓脂肪細胞自体の機能低下が最も重要だということです。特にアディポサイトカインの中でもアディポネクチンの分泌低下が主因ではと考えられています。

 ところで悪いといわれる内臓脂肪はどういう働きをしているか知っていますか。内臓脂肪は、車でいえば「ガソリン」の働きをしています。つまり人間が動き回る(歩く)ための重要なエネルギーなのです。現代は車社会となり歩くことが減り、食事は過食となり、それがメタボリックシンドローム急増の原因です。。

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