メタボリックシンドローム外来

人間ドック医が語るメタボリックシンドロームの実体

メタボリックシンドロームの病態(内臓脂肪型肥満)

メタボリックシンドロームの本質は肥満の代謝異常合併症の集積と考えられていますが、特に内臓脂肪型肥満がメタボリックシンドロームの危険因子と最も強い関連があると考えられています。

内臓脂肪の蓄積は、皮下脂肪の蓄積と異なり、種々の代謝異常を引き起すと考えられています。内臓脂肪、特に腸管膜脂肪より放出された遊離脂肪酸は、門脈経由に直接肝臓に取り込まれます。肝臓に取り込まれた過剰の遊離脂肪酸が中性脂肪の合成促進やインスリン抵抗性を生じさせうることが示唆されています。

さらに近年の研究により、これまで単なるエネルギーの貯蔵倉庫と考えられてきた脂肪組織が実はさまざまな生理活性分泌因子群(アディポサイトカイン)を分泌し、生体の代謝・動脈壁の恒常性の維持に重要な役割をはたすこと、その産生バランスの異常がメタボリックシンドロームを引き起すことがわかってきました。さまざまなアディポサイトカインの中でも、内臓脂肪蓄積に伴い分泌低下をきたすアディポネクチンの重要性が最近報告されました。

アディポネクチンは、運動不足・過食による肥満(特に内臓脂肪蓄積)が起こると、早期より分泌が低下し、全身のインスリン感受性の低下、インスリン抵抗性をきたし、糖尿病、高脂血症、高血圧を合併し、これが動脈硬化発症の危険因子の群となると考えられています。

脂肪組織は最大の内分泌臓器

 今まで脂肪組織は単なるエネルギーの貯蔵庫と考えられてきましたが、最近の研究により脂肪組織よりさまざまな生理活性物質(アディポサイトカイン)が分泌されていることが分かり、脂肪組織が生体最大の内分泌臓器であることが示されました。アディポサイトカインは生体の代謝などの恒常性を保つ作用があり、肥満に伴う内臓脂肪蓄積が脂肪細胞の機能低下を引き起し、メタボリックシンドロームを発症させることが分かってきました。
 

脂肪細胞


1.PAI−1(plasminogen activator inhibitor-1)
  内臓脂肪蓄積に伴い、PAI−1は増加し血栓形成傾向に傾く。
2.レプチン
  レプチンは主に視床下部食欲中枢に作用して、食欲を抑制し全身のエネルギー消費を
高め、体重を減少させる。
3.TNF−α
  脂肪組織より分泌されたTNF-αは筋肉、脂肪組織、肝臓でのインスリン抵抗性惹起を
介して糖・脂質代謝異常をもたらす。
4.アディポネクチン
アディポネクチンの血中濃度は肥満者や男性において低下し、減量により増加する。
肥満度が同じでも心筋梗塞や狭心症といった動脈硬化性疾患および糖尿病で低下。

参考文献:日本内科学雑誌Vol.93No.4 :肥満の役割:下村伊一郎 船橋 徹 松澤 裕次

テーマ:メタボリックシンドローム - ジャンル:心と身体

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